それはもう、本当に、この気持ちがあれば そう思うのは当たり前の事 で。 英士と付き合い始めて、もう二ヶ月近くが経った。今でもすごくすごく好きなのに、まだ日に日に英士への想いは膨らんでいく。こんなにも英士のことが好きで、泣きそうになるほどしあわせ だ。 一ヶ月記念日に英士と出掛けたとき、英士と一緒にいられることが嬉しすぎて、幸せ過ぎて、あたしは思わず泣いてしまった。それも、多く人で賑わう、駅前で、 「俺はずっと、のそばにいたい」 「今日で一ヶ月だね」そんな話をしている時に、英士の突然のこの一言で、泣き出してしまった。 そんな、プロポーズをされたわけでもないのに 大げさに泣き出してしまったあたしを、英士は嫌がることも、慌てふためくこともなくいつものように優しく微笑って。 「好きだよ」 もう何十回目になるだろうか英士のこの、あたしへの愛の告白は。いつもの告白と共に、英士の唇が優しく あたしの唇に触れた。初めての キス。驚いて涙の引っ込んだあたしを見て英士は、優しく「おいで」と言って手を差し出して来た。 あつくなった自分の指を英士のそれに絡める。 その手を引かれて歩き出す。トクントクン と優しく動く心臓を心地よく感じながら、包まれているように絡めた指にすこし力を込めてみた。 すると、あたしの一歩先を歩く英士が振り返って立ち止まり、また微笑って今度は強く、握り返して来た。そしていつもより二人の距離は少なくて、うれしい。 「なんか英士ばっかり、ずるいね」 「なにが?」 「だって、あたしこんなに余裕 ないのに」 泣く事に落ち着いてくると逆に、さっきキスされた事を思い出して 今度はそれにあつくなる。ずっと絡められたままの指と、てのひらが汗をかいてきた。 おそらくは耳まであかくなっていることだろう。 「まえも言ったでしょ、俺も同じだってば」 「…見えないもん」 「そう、見えないだけだよ」 一ヶ月前もこんな会話をしたのを、あたしも英士もまだ覚えている。そのことがうれしくて、あたしはわらう。 「…証拠、」 「え…?、…っ!」 英士が何か言ったかと思った瞬間、つないでいる手を強く引かれて、次の瞬間にはあたしは英士の腕と、胸のなかにいて 抱きしめられていると理解ったのは、更に数秒後のことだった。 「えっ英士!?」 「聞こえない?」 「……?」 耳のすぐ上で、英士のよく透る声が聞こえた。 それにあたしはどきどきしながら、英士の言っていることの意味を必死に考える。少しして、抱きしめられている英士の腕にすこし力がこもった。ぎゅ とされて、あたしは更にドキドキしながら ようやく気づく。 「あたしといっしょ だ…」 あたしと同じようなリズムで動く、英士の鼓動。平常な人間の状態なら、この心臓のリズムは明らかにおかしい。英士も同じことに、あたしはすごくうれしくなって、だらん としていた自分の腕をそろそろと上げ、英士の両横腹のあたりの服をぎゅ と握り締める。 「えーし、だいすき…」 これはきっと、英士に告白させられたあの日以来、 「やっと言ってくれた…、」 英士は何度も言ってくれたのに、あたしは一度も言ったことがなかった。 英士は一度も口に出して言わなかったけれど、きっとずっと 待ってたに違いない。 今初めてそれに気が付いたあたしは、やっぱり余裕なんかなくて、この想いを全部 どう表現したらいいのか全然わからない。 「ねぇ、これから…」 俺の家に来ない? と、英士が身体を離しながらそう言った。 「……え、…?」 この状況で、それがどういう事か、さすがのあたしでも わかる。一気に身体中があつくなって、心臓の動きが直接聞こえてくるようで。 「あ、そんな が考えてるようなことは、」 しないよ と英士があたしを見て、それはもう心底おかしそうに笑っていた。 「えぇっ…?」と、あたしはもうパニック状態になっていて、何がなんだか、とても恥かしい。 「そんな、の事抱きたい って思ってるわけじゃなくてね」 「う、えっ!そんな…」 「そりゃ、抱きたくない って言ったら全然嘘になるけど、でも」 英士はそこで言葉を切って、優しく微笑って、す とあたしの髪をひとなでした。 「のこと、すごく大事にしたいと思ってるし 後一年くらいは俺、」 待てるよ と英士はわらった。 「それまでには覚悟、決めておいてもらえると嬉しいけど」 「あ、は はい…」 変に声が裏返った。男女交際の、リアルな現状を目の当たりにしたような感じだ。今までそんなこと、ちっとも考えたことがなくて、恥かしくて、不安で、怖くて。 でも、英士になら。英士に、あたしの全部をあげたい とも思った。 「…でも今日は、ちょっと狼になってもいいかな?」 「え…っ?」 「今日はずっと、 に、」 触れてたいんだけど、駄目? と。英士の、とても、なんだろうとても、ああなんだか何て表現したらいいのかわからない。そんな英士にみつめられて言われて。 「ずっと抱きしめてたいし、もっとキスも したい」 「……」 ────それはもう、本当に、 「…うん、あたし も、」 ずっと触れてて欲しいし、触れたい、抱きしめられたい、抱きしめたい。 ────それはもう、本当に、この気持ちがあれば そう思うのは当たり前の事 で。 大好きな人だから、その人の熱に触れていたいと思う 気持ち、欲望。 いつの日か、英士に抱かれるその日まで、あたしはあたし を、もっと磨きたい。 英士の全てを受け入れられるように、受け入れてもらえるように。 愛する人の為にだから芽生える、た い せ つ な 気持ち。 それが理解った、中学三年の 七月のはじめ。 シリーズ5作目。そろそろキビしくなってまいりました。こちらんの英士サマは白くても結構大胆(ぇ) やっぱり英士も男の子ですよ。ああでもやっぱり、白い彼は一馬より動かし易い。 20061103(20050211) 秋夢うい (だいすきだと、本当に思えるからこそ言える) |