自分の醜さが、すごくすごく嫌になった。










「…っ、さ…?」

切ない声で名前を呼ばれて、もっともっと鳴かせたくなる。
しっとりとかいた汗のにおいに混じって、一馬の柔らかいにおいがあたしの鼻をつく。きっと、明日になったらいつもの二人にからかわれるんだろうな と思って、その姿を想像して可笑しくなる。


「ちょ ま、んなとこつけたら…」
「動いちゃだめ」

くすぐったさに一馬が何度も身をよじらせた。ぎゅう と、一馬の背中に回していた手を一馬の腰の下辺りまで下げてもう一度力を込める。唇で首筋を辿りながら、くい と少しだけ、シャツの襟首を広げて紅い跡を残す。


「なぁ、さんどうし…」
「何でもないってば」

一馬は黙っててよ と、ひとつずつ、一馬の制服のボタンを外していく。ごくり と、一馬が息を呑むのがわかってもっと、たのしくなってきた。


「…すっごいたくましくなったよね」

前はもっとちいさかったのに と自然と声が出た。その時頭に浮かんだのは、ちょこちょこと、あたしの後ろを嬉しそうに付いて歩く一馬の姿。


「いつの話してんだよ…」
「えー、一馬がー、ロッサ入る前の」

全部のボタンを外し終わって、脱がそうと延ばした手を掠めるように掴まれて途端、立ち位置が逆になる。トン と、少しだけ音がしてあたしの背中が壁に当てられた。


「…今度は俺、な」

ぎゅう と、手首を握られたまま 一馬の唇があたしの首筋に当てられた。そのまま、急くように空いたほうの手であたしの制服のボタンを外しにかかったけれど、利き手と逆だからか少々外しづらそうだ。


「っも、やめてよ一馬」
「…なんで」
「嫌だから」

目を見て言った。傷ついた様に眉を寄せて少し怒っている様な一馬の表情が、すごく綺麗に見えた。
力の緩んだ一馬の手から離れて、逆に手首を掴み返してぐっと引っ張ってベッドの上に座らせる。


「今日はあたしが、するの」

全てのボタンを外された一馬のシャツの首元に手を滑らせて、肩からなぞるようにして脱がせて行く。ツ と、指を胸元から滑らせてみたら一馬はピク と反応した。


「感じた?」
「…っつーかくすぐったい」
「うそばっかり」

一馬の膝の間に膝を付いて、ちゅ と鍛えられた腹筋にひとつキスをすればすぐに反応する。


「…、してくれんの?」

もう一度、一馬の胸に指を滑らせれば鼓動が早くなってることくらいすぐにわかる。遠慮がちにそう聞かれればもっといじめたくなる事を、一馬はちっとも理解っていない。


「…なにを?」
「なに って…、」

なんだよ、今日のさんすっげーいじわる そう言いながらあたしの髪をかきあげる様にして梳いてくる。その感触にぞくり としながらも今日のこの立場は簡単には崩してやらない。


「言わなきゃ、わかんない よ」
「……ち、」

ぐい と両手で顔を上げさせられて、少し前に屈んだ一馬に唇を塞がれた。何度も離れて角度を変えて。一馬の舌に酔いながらされるがままになる。


「…してよ 俺の、口で、」

舐めて と、また髪を梳かれながら一馬が言った。色気の含まれた、少しかすれた低い声で言われればそれだけであたしも感じてしまう。「一馬のえっち」と、見上げてわらう。

制服のズボンを押し上げている、その部分に触れれば もう充分なくらい硬くなっていて、変に嬉しくなる。自分で脱いでよ と、その硬さを確かめるように指を動かす。見上げた一馬の顔は一瞬嫌そうな表情になって、かちゃかちゃと 金属音を立てながらベルトが外されて行く。


あたしがリード出来るのは、どうせここまでだ。




さんすっげー巧くなった、よな」
「っん、いつのは なし」

咥えながらしゃべるのやめて と、一馬に小さく批難された。本当は嬉しいくせに といった目で見上げてやると一馬はまたひとつ息をのんだ。


「も、いいよ」
「んー…」
「なぁ、マジで…ヤバい って、」

腕を掴まれて、ベッドの上に引き上げられて。一馬があたしの上に居て、膝から下をベッドの外に投げ出したまま 下着を脱がされて、脚をM字に大きく開かされる。珍しく愛撫の一つもなく、一馬があたしの中に挿入ってきた。
その瞬間はいつもの様に、少し痛みを感じてあたしは顔を歪ませる。いつもなら申し訳なさそうな顔をしながらゆっくりと行為を進めようとする一馬も、今日はどうやら違うみたいだ。


「ごめん、先に一回…」

余裕なんかなくて、でもすごく必死になってくれている一馬がどうしようも なく。


「っ…」

行為中、一馬は必ずあたしのことを名前だけで呼ぶ。二つ下の、大好きな一馬。

どうしようもなく、すきなんだ。自分の方が年上で、きっといつも気を遣わせてしまっているだろうに。あたしが生まれてくるのがもっと遅かったら、きっともっと、近いところで一緒に居られたのに。


ねぇ。


────敵わないんだ。






「あーあ、見事に全部中に出してくれちゃって…」
「う、ご ごめん。でも…」

今日 は、大丈夫な日だと 思ったから… と、ごにょごにょ言った一馬の言葉にあたしは驚く。あたしのそんな周期まで知ってるこの年下の彼氏が、どうしようもなく。


「すごいわ一馬…」
「…?、何が…」
「…なんでもない よ」

どうする?もう一回する? と、一馬の頬に小さくキスを落としながら問う。ほんの少しでも、一馬と繋がっていられるなら、


「…あのさ、」
「うん?」
「今日のさん、何に落ち込んでるのか俺にはわかんないけど、」


────俺、ずっとさんのこと好きだから。



────ああ、本当に 敵わないんだよなぁ。



あんな小さなことで嫌な感情を抱いてしまう自分が、自分の醜さが、すごくすごく嫌になった。
何もかもわかっているかの様にあたしの醜さを一瞬で溶かしていってしまう一馬が、どうしようもなく好きなんだ。


「で?もう一回 するの?」

平気なフリして、強がって みる。けれど今まで、一馬に敵ったことなんて 一度もない。


「…する」


あたしにとって最強最愛な、とししたな かれし。




初年上設定。一馬に「さん」付けで呼ばれるのが微妙にブームでした。ただ、年下だからといって ヘタレじゃだめ。ちゃんとオトコマエな年下を希望。安全日を知ってる一馬にモエ。

裏設定としては、何らかの形で一馬と同級生の女の子が楽しそうに会話しているのを目撃しちゃって、ただ自分が年上であることに引け目を感じた彼女(元幼馴染)の衝動 で(何)

20061017(20050709)   秋夢うい

「…あたししか知らないくせに、どうしてそんな巧いの」「…知るかよ」