あなたに想われてる自信なんて、無いに等しい。 知り合ったのは、丁度6ヶ月前。付き合い始めたのは、4ヶ月と15日前、 きっかけは、英士の紹介だった。英士と幼馴染のあたしは、よく彼の話の中にに出てくる 仲が良いという2人組に興味を持った。あたしがその事と言うと、英士はすぐに2人に会わせてくれた。 寧ろ、第一印象は悪かったと 思う。何しろ会って、一番最初の第一声が「英士の彼女にしては胸ちっさくない?」だったし。言われた言葉に呆然としていたあたしを見て、英士がただの幼馴染だって言ったら、 「あ、やっぱり?何か英士の彼女にしては普通だと思ったんだよね!」 あのときは、本気で殺してやろうかと思ったな。うん。 でも、あの明るさも、天真爛漫なところも、すぐに惹かれていった。馬鹿正直なところも、全部彼の良い所だから。 それから、知り合って1ヶ月半を過ぎたころ、結人と 付き合う事になって。 報告したら英士には、 「まぁ、2人に会わせたらどっちかとこうなるとは、」 思ってたけど、なんて言われて、「には、…一馬の方が合うかと思ってたけどね」なんて事も言われた。その時は、どうしてなのか イマイチよく、わからなかった。けど、 今なら少し…、わかる気がするよ。 *** 「…今日も、会えないの?」 『悪い!!学校の友達と約束してたの忘れててさ!!』 ほんとゴメン!と、一週間ぶりに聞いた結人の こえ。電話越しの、こえ。一週間前もたしか、結人の声を聞いたのは電話越しだった。 『若菜ー!何してんの早くー』 受話器の向こうから、聞こえる 結人を呼ぶ 無数のこえ。「わかってるって、ちょっと待ってろって!」と、結人の楽しそうな声も、後に続いて聞こえてくる。 『ほんとゴメンな!また電話する!じゃ!』 何も言えないまま、ほぼ一方的に切られる。今月に入ってもう、3回目にもなる。同じ内容の…、 付き合って、2ヶ月になるまではこんな事1回も無かったんだけどな。最後に会ったの、いつだったかな。 そんなことを考えつつあたしは、自分の部屋の窓から 空を見上げてみた。 「結人はあたしの事なんてもう、要らなくなったのかな、」 カナシイのに、不思議と 涙は出てこなかった。それから3日経っても、結人からの連絡は一向になかった。練習忙しいんだろうな…と思って、自分からの連絡は避けた。それを言い訳に、あたしは 逃げてるだけかもしれないけど。 そういえば、もうどれくらい前からかな。結人からの連絡なんて、数えるほどしか なくなってきた。 「それまでは毎日のように電話、してたような気もするけど…」 「ねぇ…それって付き合ってるって、言えんの?」 親友の唯菜に、それとなく結人の話をしてみる。そうして返ってきた質問に、あたしは付き合っている とも、付き合っていない とも、はっきり答えることが 出来なかった。 「それでもあんたは、若菜結人のこと まだ好きなの?」 「わかんない…、」 スキだよ!って、言えなかった。もう、わからなくなっていたのかもしれない 随分前から。 「あんたねぇ……。とりあえずもう連絡するの止めたら?ずるずる付き合ってても、時間の無駄」 「うん、そうだね…」 本気で、それでもいいと思った。付き合っているのか、好きなのかも、そんなのもわからない状況で結人のこと、彼氏だなんて言っちゃ駄目なような気がして。 きっと悲しいことなのに、冷静でいられる自分が…自分で無いような、感じがした。 *** 「この間は悪かったな、前から約束してたの忘れててさ!」 「うん、大丈夫」 結人からあたしに会いに来たのは、もう連絡しない と、決めた矢先の事だった。前までのあたしなら、こんなこと無条件で喜んでるはずなのに。かなしいと思うのは、なんで? 「…怒ってる、よな…?」 「え、なんで?」 あたしの様子がおかしかったのか 結人は少し怪訝な表情をして、あたしの顔を覗き込んで言った。それでもあたしは、変わらず冷静で。 「結人?」 「え、あ…いや…何でもね、」 「今日はどうしたの?なにかあった?」 「え…?」 なにかあった? なんて。別に、嫌味のつもりで言ったわけじゃない。ただ本当に、素直に出てきた言葉だったから。「どうしたの?」なんて、結人からしてみればこっちがどうしたんだ、って感じかもしれないね。 だって、本来 彼氏が彼女に会いに来るのに、理由なんて要らないだろうし。 あぁ やだな…、あたしいつも結人といる時どんなだったかな。どうしても、仕草や言動がぎこちなくなってしまう。安易な表現 かもしれないけど、忘れたとしか言いようが 無いよ。 「そうだな…どっか行く?」 「え、いいよ結人疲れてるでしょ?」 「いや…、」 「ああそうだ、何かゲームする?弟が新しいの買ってきてたよ」 「なぁ…お前やっぱ怒ってんだろ」 「ええ?怒ってないよー、」 変な結人、と言ってあたしはわらう。嘘じゃない。嘘なんかついていない。柔らかく、わらう。 だって本当に、怒ってないんだから。 「…なら、いいけど」 ねぇ結人、付き合い始めた頃の 情熱的な想いは何処に行ったんだろうね。毎日でも、会いたかった。少しでも声を聞いていたかった。いつでも傍に、居たかった。 結人はあたしの事、今でも好きなのかな。ううん、あたしのこと 本当に好きだと想って付き合ったの? あたしは…、 ────あたしは、わからなくなってきたよ。 それから、一週間も経たないうちのことだった。結人からの着信に、あたしはただ 驚いて、 『…お前、俺じゃ不満なわけ?』 結人の第一声が、それだった。「不満?」なにを言っているのか、本当にただただわからなくて、 『いいよもう、終わりにしようぜ』 「結人…?」 『…、じゃあな』 受話器から聞こえる、定期的な機械音。 ────終わりにしようぜ。 こんなにも簡単に、絆は終ってしまうものなんだな って、そんな変なことを思った。そもそも、あたしたちにそんな 絆なんてもの始めからなかったのかもしれない。そう考えたら、答えは簡単に出てきて、 「なぁんだ…、」 ────やっぱり結人には、あたしは要らなかったんだ、 そう、答えが出ても やっぱり不思議と涙は出てくれなかった。 ふと、窓の外を眺めてみた。紅く染まり始めた空に、飛行機雲が真っ直ぐに浮かんでいて、途中で切れてしまったの?それとも最初から繋がっていなかったの? 途中、雲の切れ目を見て、それがあたしと結人の関係を 表しているかの様に思えた。 NEXT→ それは昔載せてた作品。ある方のおかげでこの作品の存在を思い出した(ぇ)ありがとう! くっそー!直し甲斐のあるやつめ! 20070305(20040728) 秋夢うい (まるで、ふたりの赤い糸の ように) |