あたしたちの想いとは裏腹に、その日はもう 目前にまで迫っていた。
送信ボタンを押して、ぱた と携帯電話を閉じた。ぎゅ、と目を閉じたら思い出した。この2ヶ月半の間に、色んな事があった。 たくさん笑って、…たくさん泣いた。 ねえ、こんなにも一馬の事を好きになるなんて、思わなかった。好きで、好きで、好き過ぎて。 こんなにも胸が締めつけられる、想いが 重い。 もう一度、一馬からのメールを開いて見た。合宿だって一馬。1週間も。 一馬が戻ってきたら来たら11日。あたし達の最期の日は…20日。 「もう…ホントに最後だ…」 * ベッドに寝転がって、携帯電話を胸の上で握り締めた。最期のその時まで、あと2週間とちょっと。その半分は明後日から始まる、トレセンで潰れる。 の事が好きで、好きで。なんかすげー泣きそうになって目を瞑ると、嬉しそうに笑ってる が浮かんだ。 こんなに人を好きになることなんて、俺には無いと思ってた。 確かに、確実に。その期限はやって来て、俺達は離れていく。最期の最後に俺 は。 ────あいつに、何を してやれる? 「…」 * 「ねぇ、どうして?どうしてもこのまま離れなきゃ駄目?」 一馬が合宿に出発して、もう4日目。心配した優希が、家に来てくれていた。もう最期の日が迫ってきてる事、あのお祭りの日、言われた一馬の言葉を。 あたしの想いを、優希に言って1番初めに言われた台詞がこれだった。 「全部…、あたしがまいた種なんだよ優希」 全ては偶然。あたしがあの日、告白されてなければ。あの日一馬が、告白されてなければ。彼が勘違いして、言いふらさなければ。 あの日、あの時、あのタイミングじゃなきゃ、今こんな事にはなってない。 「あたしがあんな事言わなきゃ…」 そう、あたしがあんないいかげんな事言わなきゃ。 「…あたし、他に好きな人、居るから、だから…」 「っ誰!?」 あたしが、あんな事 言わなきゃ。 「ね、3ヶ月だけ付き合ってるフリ、しよっか?」 「言わなきゃ一馬を傷つけること、なかったのに…」 一馬をあんなに追い詰めること、無かったのに。自分自身の傷を癒すために、ついた嘘。一馬を利用して、巻き込んだ 嘘。 「ねぇ…っ」 「…わかってた。優希が昔のあたしの事 心配して、…責任感じてた事も」 優希が、先輩の『目的の女』だった って事も。 「あいつの友達がすーげぇかわいい子なんだよね」 「お前目的ってそっちかよ」 「誰よりもあたしの事必要としてくれて、あたしの事考えてくれてたのも…優希だって、」 ────全部、わかってるから。 「ねぇ。優希は何も悪くないでしょ?あの事は先輩とあたしの問題で、優希が責任感じる事、無い」 優希はそれに応える事なく、先輩の一方通行で終った出来事。 「優希はもう、英士くんの事だけ考えて、いいんだよ」 「…」 「何となくね。あたしと一馬の事で遠慮してるんじゃないかな って」 優希があたしの事必要として、あたしの幸せを願ってくれているように、あたしも優希のこと必要としているし、幸せになって欲しいと願ってる。 「世界でたった一人の親友だからね」 あたしが笑ってそう言うと、優希も綺麗な顔を歪ませて笑った。 「…にだって、真田くんと幸せになる、権利があるのよ?」 ────あたし が、一馬と? 「…無いよ」 「あるの」 「…無い」 「ある」 「どうすればいいの…」 涙が止まらない。優しく話を聞いてくれて、一緒に泣いてくれる優希がいるから。余計に涙が止まらなくなる。 声を上げて、一馬を想って 泣いても。どうしようもない。 全部あたしの所為なのに。 自分の気持ちも、一馬の優しさも素直に受け入れることが出来なくて、自分から距離を作っておいて。拒絶した。過去と一馬のあたたかい優しさを。 そんなあたしが今更、一馬に受け入れてもらおうなんて。 どうすればいいのどうすればいいの。 責められるかもしれない拒絶されるかもしれない。一馬は、錯覚してるだけかも知れない。あたしと同じ気持ちとは限らない。 あたたかいのもやさしいのも、この関係上の義務的な感情かも知れない。 契約が終ってしまえば、案外あっさりとしてしまうかもしれない。 それなのに言う、そんな勇気。 ────あたしにあるわけ無いじゃない。 ←BACK NEXT→ 一話の長さがまちまち。さあ、勢いだけで書くのだ! 2007026(20041117) 秋夢うい |