どうせ最後なら、せめて───笑顔で。










「これは、焼ける…」

河川敷の土手沿いを歩く。一馬はいつも、駅からここを通って帰ってくる。何度も、ここでサッカーをする一馬を見つめてた。何時に帰ってくるかは聞いてなかったから、会えるかどうかなんて わからないのに。

この間、優希とたくさん泣いた。だからもう笑顔で一馬の事迎えられるよ、ちゃんと 離れられる。


…?」

急にぶわ と風が吹いて、それに乗ってくるように微かに耳に届いた。すごく、驚いた顔してるね。


「お帰り、一馬」

ゆっくりと立ち上がって、笑顔で 言う。一馬の顔が少し紅くなっていて、少し 照れているような。
あたしの、大好きな。




「ただいま…」

ずっとのこと考えてた。学校の帰り道いつもここを通ってたこと、サッカーをしたこと。
そしたらなんか、座り込んでるし。俺は驚いて、けど自然にの名前を呼んでて。
笑顔でおかえり って。

顔が熱い。すごく、愛おしくて。


「ケガ、してない?」
「ん」

「おつかれさま」
「…さんきゅ」

が微笑って。俺も自然と微笑う。


────決断の時は、すぐ そこだ。


「…なぁ、」
「…ん?」

ふたりで並んで歩く。夏休みに入って、はじめてかもしれない。は練習や試合にほとんど顔を出してくれていたけど、以前のようにそのまま一緒に 帰るなんてことは無くなってたから。

募る想いと、迫り来る期限。


「話、逸らしたくないから、ちゃんと 言う」
「…うん、」
「あと、1週間 だな」
「……」

「その日、20日 だけど」
「一馬の誕生日、だね」

何かの因果かな。運命の日はおれの15歳の誕生日だ。が一馬の俺の顔を見て言った。内心俺は複雑な気持ちになって「うん」とだけ短く言った。


「遊びに行こう」
「…いいのか?」

「最後 に、連れてって」


どこでもいい、最後にふたりで。ふたりの、


────最高の、思い出を。



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第21話と一緒でよかったんじゃないかと思うくらいの短さ。
なんかもう、修正というより 改行の仕方を変えただけ…みたいになってる。

20070326(20041119初版)   秋夢うい